PFASはなぜ通水型浄水器では除去できないのか?構造から解説します

近年、日本でもようやく「PFAS」という言葉を耳にするようになりました。

有機フッ素化合物と呼ばれるこれらの物質は、水に極めて近い性質を持ち、分解されにくく、環境中に長く残ることが知られています。

しかし同時に、こんな言葉もよく目にします。

「この浄水器はPFAS除去対応」
「高性能活性炭で安心」

本当に、家庭用の通水型浄水器でPFASは除去できるのでしょうか?

今日は、感情ではなく「構造」から冷静に解説します。

PFASはなぜ厄介なのか

PFASは4,000〜5,000種類以上存在するといわれています。
水に溶けやすく、しかも水に極めて近い分子構造を持つため、通常のろ過ではすり抜けやすい性質があります。

活性炭で吸着できるものもありますが、すべてではありません。
しかも問題は「吸着した後」にもあります。

一部のPFASは、水質条件や流速の変化によって再び水中に戻る「再剥離」が起こる可能性が指摘されています。

つまり、単純な「通過型ろ過」は構造的に不利なのです。

家庭用浄水器の通過時間はどれくらいか?

ここが最も重要なポイントです。

家庭の蛇口から出る水は、毎分10〜12リットル。
つまり、毎秒約170〜200mlの水が流れています。

蛇口直結型の浄水器の場合、水がろ材に接触する時間はおよそ0.5秒以下。

0.5秒です。

吸着というのは、単なるフィルター通過ではなく、「分子がろ材表面に触れ、留まる」という現象です。
これは「時間依存」の現象です。

接触時間がなければ、吸着効率は大きく低下します。

構造上、PFASのような難易度の高い物質を除去するには、通水型は圧倒的に時間が足りません。

これは性能の問題ではなく、設計思想の問題です。

活性炭だけでは限界がある理由

活性炭は非常に優れた素材です。
塩素やトリハロメタンなど、比較的難易度の低い物質は効果的に除去できます。

しかしPFASは、水に近い性質を持ちます。

吸着させるには、
・高性能なろ材
・十分な接触時間
・再剥離を起こさない構造

この3つが必要になります。

「高性能活性炭使用」と書いてあっても、接触時間が0.5秒では本質的な除去は難しいのです。

見落とされがちな「素材リスク」

もう一つ、あまり語られない視点があります。

多くの通水型浄水器には、
・中空糸膜
・銀加工活性炭
・親水化処理素材
などが使用されています。

これらは細菌対策や透明性確保のための設計ですが、素材由来の微量溶出やマイクロプラスチック問題を完全にゼロにするのは簡単ではありません。

速く処理するための構造は、別のリスクを抱えることもあります。

ここでもやはり、設計思想が問われます。

PFASは「通すだけ」では取れない

理屈はとても明快です。

PFASは水に近い。
吸着は時間依存。
再剥離の可能性もある。

この条件下で、0.5秒通過設計は不利です。

だからこそ、私たちは「時間をかける浄化」という方法を選びました。

時間という設計思想

私たちが開発した浄化ユニット「太陽のひかり」は、通水型ではありません。

水に浸漬し、約15分静置する設計です。

わずか15分ですが、この「時間」が接触効率を大きく高めます。

都立産業技術センター等での評価では、

・PFOA:99.76%
・PFOS:99.9%
・PFHxS:99.9%
・PFBA:99.9%

という除去性能を確認しています。

これは速さを優先した設計では到達しにくい領域です。

速さでは取れないものがある。

水は、急ぐ必要はありません。

15分置くだけで、守れる水があります。

水は「信じて飲む」時代ではない

世界で最も安全と言われた日本の水。

しかしPFAS問題は、政治的にも経済的にも複雑で、個人レベルでの対策が必要な時代に入っています。

見た目が透明=安全、ではありません。

濁りは簡単に取れます。
本当に難しいのは、見えない物質です。

私たちは、恐怖で煽るつもりはありません。
ただ、構造を知った上で選択してほしいのです。

時間をかけるか。
速さを取るか。

その選択が、これからの水を決めます。

水は、知識で守れます。

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